女性生徒ゆき
きりゆー
生まれも育ちも湘南の俺は、小さい頃から親父と波に乗り、サーフィンが生活の一部。今は親父のサーフショップを手伝いながら、サーフィンを教える仕事もしている。
湘南の海で驚きの出会い
最近は閑散期ともあって、インストラクターの仕事もなかなか入らなかったんだけど、親父に呼ばれて店に行くとひとりの女の子が立っていた。
とてもサーフィンするようには見えない、眼鏡をかけた地味な女の子。まさかこの子が、なんて思ってると、親父が出てきた。
「おい、この子な。東京から二ヶ月、サーフィン習うために来たらしい。お前が教えてやれ。」
まじか、びっくりしつつもスーツに着替え、女の子と海へ行った。「なんでサーフィン習おうとおもったの?」
そうたずねると、恥ずかしそうに話しだした。
「私、見ての通りこんなだから自分に自信がなくて、恋愛とかしたことなくて。前にテレビで、環境を変えれば自分が変わるって言ってたの思い出して。サーフィン、見るのは好きだけどやったことなかったから。湘南にくれば、少しは変われるかなぁって。」
なんだかすごく背中を押してあげたくなった。その日からほとんどつきっきりで教えた。やってみると、上達が早くてあっという間に板に立てるようになった。
近くのマンションで家を借りてる彼女をたまに呼び出して、地元の女友達と一緒に飯に行くと、その友達がすげぇ女の子のこと気に入っちゃって、私の妹にする!とか言って流行りのメイクとか服とか教えてあげてた。
二ヶ月経つ頃には、人が変わったように明るい女の子になってた。
新しい自分に出会えた女の子
最終日、波乗りを終え一緒に店に戻ると、女友達たちが集まってお別れパーティーを開いてくれた。この二ヶ月ですっかり、自分に自信がついたように見える。
「皆さん、こんな私にサーフィンとかお洒落とかいろんなこと教えてくれて、本当にありがとうございました。私、すっごい嬉しくて、東京にいるままだったらきっと変われてなかった。湘南に来て、本当によかったです。」
みんなに見送られて、あの子は東京に帰っていった。長いこと、ここでインストラクターやってるけど、こんな出会いは初めてだった。
きりゆー
男性生徒たつや

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